こんにちは。Naoです。

以前の記事にも書きましたが、

エルメスのカレ(スカーフ)は本当に素敵です。デザイン、色彩、素材。すべてに膨大な手間暇がかけられ、1シーズンのために作り出される芸術品。

「新版 エルメスの道」によりますと、エルメス4代目社長ロベール・デュマ・エルメスが絹のスカーフ「カレ」の創始者だそうです。

初めてカレが発表されたのは戦後のこと。

もっとも有名なデザイン、ギネス記録を持つ「ブリッドドゥガラ」は1957年にユーゴグリッカーによってデザインされたもの。また、「エクスリブリス」は1946年に同じデザイナーによってデザインされ、発表されたものです。

70年以上同じデザインが使われ続けていることに驚きます。

そしてカレは、現在のエルメスの売り上げの2割を占めるそうです。

私はこのカレこそが、エルメスというブランドの成功を盤石にしたのではないかと思うのです。

 

世界の富裕層といわれる人々は、富と成功を得た後にどこへ向かうのか。

それはアート、芸術に向かう場合がとても多いように思うのです。

ヨーロッパでは昔からパトロンという言葉があるように、音楽、絵画、建築、彫刻、文学、陶磁器などなど

芸術といわれる分野に王侯貴族や莫大な富を得た商人が資金を提供してきました。

そして芸術作品をコレクターとして収集し、それらの知識を持つことは日本では考えられないほどの価値があるのだと思うのです。

最近ではzozoのM澤元社長が絵画を大変な金額で購入して話題になっていましたね。

M澤氏は宇宙船の内装をエルメスに依頼したとか。

エルメスも快くその依頼に応じたそうですが、それはM澤氏を「アートを理解し、愛する人」と認めたからかもしれません。

なぜ、富を得た人は、アートに向かうのか。

もちろん、投資の対象として価値が上がりやすかったり、価値が変わりにくいからかもしれませんが(海外では美術品に税金はかかりません)、

他にも、前に「この世で最も尊いもの」の記事に書きましたが、芸術は命そのものだからかもしれません。そこにお金を投資することは、生きていくうえで、寄付などと同じ「よきこと」としてとらえられるのでしょう。

 

エルメスがカレを製作するようになることは、職人技の光る美しいバッグを製作するブランドに「アート」の要素を取り入れることでした。

エルメスが厳選したデザイナーの描く、美しく、身に付けられるスカーフ、ショール。

毎シーズン発表される新しいデザインは、芸術を愛するパトロンたちのこれ以上ない楽しみとなります。

きっと新しいデザインが発表される度に、社交の場での楽しい会話の話題になったでしょう。

エルメスを持つこと=芸術を愛すること

そのような等式が成り立つなら、富裕層の方がエルメスの製品をこぞって持つ理由がよく分かるのです。

素晴らしい職人技に、アートを取り入れた、ロベール・デュマ・エルメスは、富裕層の心をガッチリつかみ、ビジネスとしてのエルメスを盤石にした、と言えます。

「ビジネスの天才」ではないかと私は思います。

そして、それは時を経た、遠い最果ての国、日本でも変わらず。

新しいシーズンが始まると、たくさんのブログで皆さん楽しくデザイン談義をしています。

富裕層でなくても、そのお話を伺えるのが、現代のすばらしさ。

夜、1人の時間にそれを読むのが私のささやかな楽しみです。

Peace of I.

 ご興味のある方、こちらもぜひ読んでみてください。

 

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