こんにちは。Naoです。
先日時計をメンテナンスしに、購入した時計店へ持っていきました。
そのとき、対応してくれた店員さんがこんな話をしてくれました。
「最近は、時計をオーバーホールに出すと、機械を一式新しいものにするメーカーが増えてきました。一つ一つの部品を確認して、どこが壊れているかを確認できる職人が少なくなっているのも理由の一つかもしれません。職人の数を保つには、修理の値段では割に合わないんでしょうね。」
「修理の値段では割に合わない。」
ん?
となりしばらく考えたのでした。
世の中がSDGsになればなるほど、新しいものは売れなくなり、修理をすることが増える。でも修理するって、あまり利益があがらない?つまり、修理ができる企業ほど、経営が厳しくなる?
翻ってエルメスに思いをいたすのです。
エルメスは基本的にはどんなに古いものでも自社の製品であれば修理してくれます。
30年前のバッグのストラップを、まったく同じ革質、色のストラップで直せるのです。驚くべきことだと思います。
ちなみに、お値段7万円くらいです。
でも、修理するためには工房、職人、素材、その保管場所、管理記録、などなど、膨大な手間と場所とコストがかかります。
一つの修理、7万円では元は取れないのではないかと思います。
新品のエルメスのバッグが高い理由はここにあるのかな、と思ったのでした。
そして、エルメスのシステム化されたお商売の方法も。
エルメスでは、ある程度、服やバッグを買ったお客さんしかバーキンやケリーは紹介してもらえません(例外も時にはあるかもしれませんが)。
それは、バーキンやケリーが欲しいです、というお客さんの気持ちを利用して、そのほかの製品をしっかりと購入していただく、というシステムにほかなりません。
はじめはそんなシステム、なんてひどいんだ!商売っ気が強すぎると思っていたのですが。
今回、修理の話を聞いて思ったのは、そんな風にしっかりとお金を落として新品のバッグを購入してくれるお客様がいなければ、修理などのアフターフォローがしっかりできる体制は取れないのかもしれない、ということ。
継続的に新しい商品(特に利幅の大きい服や布製品)を購入してくれるお客様からの収入があるから今の店舗の規模、サービスが維持できるのかもしれない。
SDGsを資本主義社会の中できちんと行っていくことの難しさ。それはエルメスの中にいる人が一番感じているのかもしれない。
そんな風に思ったのでした。
Peace of I.